児童養護施設や離島に暮らす子どもたち、カナダのトロント10日間滞在。
子どもの権利とアドボカシーを学び、出会いと実践を重ね、自分の言葉で語り始めた旅。その瞬間と手応えをお届けします。
■ SIAとは—なぜ「越境」か
私たちピースワラベが実施しているSIAプロジェクトは、社会的養護下や離島に住むの子どもたちが海外での短期留学を通じて、視野を広げ、自分の可能性や将来への夢に気付く機会を提供するプロジェクトです。
越境する・普段生活している環境から離れる、という体験は、新しい視点で物事を考え、アドボカシーの土台をつくり、多文化に触れる実践の場になります。
今回のカナダ研修の目的は「違い」を学びながら「子どもアドボカシー」を知る旅。
問いを立て続けながら、子どもたちは10日間を過ごしました。
「子どもアドボカシー」とは・・・子どもの権利条約の重要な原則の一つ「自分の意見や考えを表明できる権利」をサポートするために、こどもの声を聴いたりすること。「こどもが成長していく中で自分らしい生き方を取り戻し、人生を全うできる」ための支援をすることがキーになります。
■ カナダ・トロント研修10日間のハイライト
1日目:初フライト、初めての海外の子どもたち。緊張とワクワクが弾ける日となりました。
2日目~4日目は、現地の子ども支援の団体を訪問し、日本との違いを学んだり、現地の若者との交流を行いました。子どもアドボカシーを実践しているモデルとの出会いや交流、公聴会準備のワークショップを通じて、現地の人々と関係が深まり、子どもたちが自信を持ち、表情が変わっていく姿がありました。
2日目:「Children’s Aid Society of Toronto」で社会的養護下の当事者たちとランチ&ワークショップ
3日目:社会的養護下から自立する若者を支援する団体「STEP STONE」を訪問
4日目:公聴会に向けて、子どもと大人に分かれ、自分自身の生い立ちや人生を振り返る時間と子どもアドボカシーを考えるワークショップを実施。
5日目は、いよいよ公聴会。子どもたちが生い立ちや今、そして望む社会を語り、大人は「何が必要か、私たちに何ができるか」を考えを共有。
公聴会終了後の6~10日目は、現地のフードバンクでボランティアをしたり、世界一大きい滝「ナイアガラ」へ行ったり、カナダにしかない異文化体験をしました。
6日目:食料支援団体「North York Harvest Fod Bank」でボランティア
7日目:「ナイアガラの滝」へ。クルーズ船に乗りキラキラの笑顔を見せてくれました。
8日目:Pioneer Villageで歴史に触れ、CNタワーへ。
9日目:自由行動の一日。それぞれが自分の興味の赴くままに過ごしました。カナダ最後の夜は、旅の振り返りと題し、子どもも大人も涙ながらに今までの想いを共有。
10日目:日本へ帰国。
■ 声が生まれる瞬間
公聴会で語られた子どもたちの言葉は純粋で、そして深く私たち大人の胸に響くものでした。
「一人ひとりの‘普通’を守って欲しい」「信じられる大人に出会える環境が欲しい」「田舎でも、小さな島でも対策をして欲しい」「助けの求め方を教えて欲しい」一人ひとりのメッセージには、自分自身を尊び、安心できる社会を求める切なる願いが込められています。
これらの言葉は、未来を担う彼らの心の声そのものです。そして、私たち大人に対する強い信頼があってこそ紡がれたものだと感じます。「聞く」ということはゴールではなくスタートです。この場を共鳴の第一歩とし、対話を継続し、行動へつなげていくことが、子どもたちの声に真摯に向き合うことではないか、そんな想いを深めた一日となりました。
■ Japan Nightと「好き」の力
現地の子ども・大人たちとの交流会「Japan Night」では、島根県海士町の伝統舞踊「キンニャモニャ踊り」を披露。さらに、折り紙を教えたり、日本のアニメの絵を描いてプレゼントしたり、それぞれの「得意」は、言葉の壁を超えました。
■ これから—旅を学びに変える
今後、日本で実施するStudy in America(SIA)事後研修も予定。これまでの学びを言語化する機会を設け、この研修を通してできた仲間が再結集します。また、オンラインでの定期的な話す場を設け、コミュニティとして、関係は残り続けています。
Study in America(SIA)事前研修についてはこちら
https://warabe.peace-winds.org/journal/125/
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