2024.11.14

児童養護施設の子どもたちへ:SIAプロジェクト夢への翼

私たちはこれまで、皆さまの温かいご支援に支えられながら、子どもたちへの支援活動を続けてきました。しかし、新型コロナウイルスの影響により、多くの活動は一時的に制限され、子どもたちが学びや成長の機会を得ることが難しい時期が続きました。
そんな中、2022年に再開できたのが「Study in America(SIA)プロジェクト」です。これは、児童養護施設の子どもたちが海外での短期留学を通じて、視野を広げ、自分の可能性や将来への夢に気付く機会を提供するプロジェクトです。
 

児童養護施設への支援が必要な背景

 
日本の児童養護施設では、様々な事情で親族と共に暮らすことができない子どもたちが生活しています。多くの場合、18歳で施設を退所しなくては行けません。退所後は、衣食住のために経済的自立を求められ、進学ではなく就職を選択する子どもたちが多くいます。
※日本の一般的な大学進学率が50%を超える一方で、児童養護施設で育った子どもたちの大学進学率は約18%。
また、彼らの多くが将来の夢や可能性に対して自信を持つ機会が乏しいため、「自分にはできない」という思いから新しい挑戦を避けがちです。
 

 
私たちは、このような背景を踏まえ、子どもたちに自分の声や意見を持つことの価値を理解してもらい、進路選択の幅を広げる支援が必要だと考えています。SIAプロジェクトでは、海外での異文化体験を通じて、子どもたちが自己肯定感を高め、自分の未来を主体的に選択できる力を育むことを目指しています。
 

SIAプロジェクトの取り組み内容

 
SIAプロジェクトでは、児童養護施設の子どもたちに海外留学体験の機会を提供しています。2023年にはフロリダ、2024年にはカナダのトロントでスタディツアーを実施し、現地でのボランティア活動や異文化交流、公聴会での発表などを通して彼らの成長を支援しました。
 
2022年 カナダでのスタディツアーでは、0期生となる学生(当時高校3年生)が1名、子どもの権利擁護について学びました。帰国後はイギリスの大学に進学し、自身の想いを施設の職員や行政機関の大人などに伝えることができるようになったと言います。
 

 
2023年 フロリダでのスタディツアー フロリダでは、6名の子どもたちが現地の高校・大学を訪問し、NPOでのボランティア活動や地域の歴史・自然を体験しました。宇宙科学の拠点であるケネディ宇宙センターでの見学や、ディズニーワールドでの異文化体験を通じて、視野を広げ、新しい知識や価値観を学びました。
 

 
2024年 カナダ トロントでのスタディツアー トロントでは、カナダの児童支援団体「PARC」や「Stepstone」を訪問し、現地の若者たちと共に意見交換を行いました。子どもたちは、自分の考えや意見を発信する力を身につけ、特にオンタリオ州議事堂で開催された「子どもアドボカシー公聴会」では、自らの意見を堂々と大人に伝える経験をしました。この体験を通じて、「自分の声には価値がある」という実感を得ることができたのです。
 

 
また、食料支援を行うNPO「Daily Bread Food Bank」でのボランティア活動では、現地のコミュニティに貢献する意義を学び、目標に向けて協力し合う達成感を得ることができました。帰国後も、子どもたちはこの経験を活かし、将来の夢や目標に向かって進む意欲を高めています。
 

 

子どもたちの成長と今後の期待

 
留学体験を通して、子どもたちは異なる文化や価値観に触れることで自信を育み、自分の可能性に気付くようになりました。ある参加者は、将来の夢を「施設の先生になること」と定め、それを周囲に伝えるようになりました。また、留学体験後には、同じ施設で育つ仲間たちと集まり、自分たちの考えを共有し、意見を伝える活動を始めた子どももいます。これらの変化は、彼らが自らの人生を主体的に選び取っていくための大きな一歩です。
 

皆さまの支援に感謝して

 
皆さまのご支援によって、子どもたちは自分の未来に希望を持ち、目標に向かって歩み出す勇気を得ることができました。これからも、彼らの成長を支えるため、皆さまの温かいご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

 

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